雪合戦(ゲーム)もそろそろ終盤。
 残ってるのは私と楽羅と瑠華とカーラと翠と、我が弟の響。
 さぁ、次は誰が退場する?

 

 

 

 

 

雪合戦月留視点

 

 

 

 

 

 投げられる雪玉をしゃがんで避けて、私はついでに両掌に雪を掻き取り、軽く握って一つを瑠華の繰る雪玉乱舞を避けている最中の翠に投げつける!
 だけど斜め後ろからの攻撃だったのに、翠はそれを軽く跳んで避け、着地すると同時に雪を掴んで投げ返してくる。
 う〜ん…中々当たんないな〜。
 胸中で呟きながら、顔に浮かぶのは笑みだったりして。それが翠には余裕に映るらしくて、小さく眉間に皺を寄せた。

 

 

『月留&瑠華vs翠戦、両者苦戦し、なかなか白熱しております!!瑠華がんばれーっ!!!

『対してカーラ&響vs楽羅さん戦は楽羅さんが優勢です!!けれど両者、雪玉に当たりませーん!!響君ファイトーっ!!!

「うん!俺頑張るー!!!」

「桜花姉ちゃんも実況がんばってねー!!!」

 

 

 素晴らしく贔屓たっぷりな実況に、大人気な二人が手を振って応える。
 可愛いな〜v瑠華も響も見事なロリ&ショタっぷりだね★
 萌えつつも、私はぴょんぴょんと上下左右に飛び跳ねながら雪玉を避けた。

 

 さて、どーしよっかな〜♪
 翠に視線を戻して私は考える。いつもは勘に頼ってるけど……別に考えるのが嫌いなわけじゃないんだよね。

 

 どうしよう?どうすればいい?
 にまりと笑って自分自身に問いかける。

 

 ねぇ、どうしたい

 

 まるで小説を書いてる時みたいに、情景と文章が浮かぶ。
 その時、月留は叫んだ。

 

 

 

「引っかかったね!!翠!!」

「何!?」

 

 

 

 足元を見て言われた言葉に、翠は慌てて自分の足元を見た。
 戦闘に慣れてる翠は思ったはずだ。足元にトラップが仕掛けられていたのだと
 動きが止まった一瞬に、私は一気に雪を蹴り翠の間合いに入る。
彼が状況を理解して次にどう動けばいいのか判断するよりも早く斜め下から突き上げた両の掌をその深緑色のセーターに――――――押し付けた。

 

 

 

ぐしゃり。

 

 

 

 手の中で、雪玉が潰れて零れ落ちる。
 驚愕に目を瞠る翠に、私はにぃーっと笑いかけた。

 

 

「ね?引っかかったv」

「な…っ!?」

『三発当たって、翠選手、退場だーっ!!』

『月留さんの作戦勝ちです!!こらーーっ!翠ーーっ!!弛んでるぞーーっ!!!

「ぐっ;」

 

 

 桜花の叱咤に、ぶれて消える間際、翠が呻いたのが聞こえて小さく苦笑する。
 さてと、
 「きゃーっvvv」っと歓声を上げてる瑠華に歩み寄り、肩を叩いて私はにんと唇を引き結び笑む。

 

 

「さ、楽羅っちをお助けするよ☆」

「うん!!」

 

 

 

 元気にうなずく瑠華と同時に、
 私は雪に映える藍色へ向かって駆け出した。

 

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そんなの知らない⇒