『鎖神』という組織は全部で四つのグループに分けられる。
本拠地に留まり『鎖神』の現場指揮官を勤める者、即ち双葉蓮の属する『紫水晶』。同じく本拠地に居を構えることで如何なる緊急任務であっても即座に対応することの出来る『柘榴石』。自分の世界で生活を送るがいざ召集をかけられれば任務に当たる『緑柱石』。そして、よっぽどのことが無ければ任務に応ずることは無く主に情報収集に徹することの多い者の属する『蛋白石』。
以上。これらが『鎖神』を構成するグループの殆ど全部。皆頼りになる、真佳のかけがえの無い仲間である(と、言うようなことを口に出そうものなら多分過半数の人間が微妙な顔をするだろうけど)。
てん、とリズムをつけて階段の最後の一段を飛び降りた。後ろ手に手を組んだまま後ろを振り仰ぐと、双樹に周囲を飛び回られてながら鬱陶しそうな顔で降りてくるカオスさんの姿が見えた。双樹に急かされているにも関わらず歩調に急ぎの色は無い。
マイペースな人だ。あと恐ろしいくらいに洞察力の鋭い人。
空元気は彼の前では禁物、と心のメモ帳にこっそりメモる。見破られてしまったら空元気の意味が無い。
「先に行ってろ。急かされなくともすぐに追いつく」
「ぜったい?」
「ああ」
追い払うみたいなカオスさんの口調に考え込むかのような沈黙をおろして双樹ちゃんが漸くスイ、と此方に降りてきた。
「カオス、後来る。先行ってる」
「双樹も?」
「一緒行く」
「ん、じゃあ行こ♪」
相変わらずのんびり歩いてくるカオスさんを一瞥だけして、食堂までの道のりを双樹と並んで小走りで駆けた。