「……? 何の音だ……?」 黒い布に包まれた各武器を背に担ぎ道路を渡った楽羅は、ばりばりという彼の世界では耳慣れないその音に発音元――――――天を仰ぎ見た。 |
異形 |
周りの建物よりも二、三階分高い場所で停滞している……確かヘリコプターと言っただろうか? 戦場で数度見たことのある治安部の飛行機とは違い小回りの効くタイプらしい航空機。その扉が開き、人影が銀行の上の――――楽羅からは見えないが―――貯水タンクのあるあたりに降り立った。 「…?………!!」 眉根を顰めた楽羅はしかし、数秒後屋上から顔を出した物体を見て目を瞠る。 それは形を持った水。異形の化け物―――――――恐らくは『 身を乗り出すその動作に、楽羅は『 「飛び降りる気だ!!」 誰かの野太い叫び。一瞬の停泊の後、その言葉どおり宙へ身を躍らせた『 地面の上に、その二体は轟音と地響きを連れて降り立った。 誰が体制を立て直すよりも早く、一体がその腕を長く細くまで伸ばし、振り子の要領で壁を破壊し銀行内に入って行った。 立ち込める砂埃が風に流れ、四メートルはあるだろうその姿に楽羅は目を瞠る。 ――――――援軍……ってのは、『 “名も無い者”を『 第一、月留たちの世界…………つまりこの地球を基盤として創られた世界では『 この世界で起こっていることならば何でもわかる『 考えるのは後だ。今は兎に角、コイツを倒して三人に武器を届けなくてはならない。 彼の愛刀・爪天奇襲である。その柄に手をかけ、僅かに腰を屈め構えをとる。 「 狙うのは、胴の部分の中ほどにある、『 軌道を斜め上に向け、火花すら散る速度で楽羅は刀を抜き放った。 「 鞘走りの音を後に残して横凪に走った刀の残影が、水平に弧を描き刀を離れ、まるで威嚇するようにその両腕部分を持ち上げ楽羅へ向けた『 本体を斬られその形状を維持する力を失った水が、ばしゃあっと道路に弾け、綺麗に二分された玉が転がり砂のように崩れて消える。 ふっ、と短く呼気した楽羅は、もう一体の『 |
執筆:2006/09/19 |